「女の子」をテーマにしたNIKEの新CM、低評価60%。その中身とは

「女の子」をテーマにしたNIKEの新CM、低評価60%。その中身とは

スポーツ用品大手「NIKE JAPAN」(登録者数6.7万人)の新CMが物議を醸しています。

◆ジェンダーギャップが題材のCM


5月28日にYouTubeで公開された「New Girl | Play New | Nike」。
CMの前半部分では、“社会的弱者”としての女性の姿が描かれています。

とある妊婦は、病院でエコー検査を受け、お腹の赤ちゃんの性別が「女の子」と知らされます。
夫とともに喜びますが、一瞬「女の子…」と真顔に。
また、親戚と思われる少年が「女の子」「えぇー」と落胆する様子や、妊婦のママ友が「女の子って大変だよねー」と話します。

他にも、若い女性が、男性だらけの会議の中で困惑する様子や、背後を気にしながら夜道を恐る恐る歩く様子などが映し出されます。
加えて、人形が「日本の男女には43.7%の所得格差があるんだって」と話しだすといった、日本のジェンダーギャップを強調するシーンも。

◆YouTubeの動画は低評価6割

CMは、YouTube上で広告として配信されており、5月30日現在、動画の再生数は930万回再生を突破しています。
この風刺的なNIKEの新CMに対し、動画の低評価率は60%(高評価1095・低評価1525)と、世間の反応は厳しい様子。

コメント欄では

「女性からしても、このcmは嫌を通り越して悲しくなった。
子供が産まれる、っていう時に女の子だからって周りが嫌なことを言うのが今の普通みたいな。
突然流れてきて視聴者の心を傷つけるようなcmを大企業が出してるのが悲しい。」

「色んな問題を考えるのは良いんだが、なんでこんな狂ったCMになるのか」

「自分たちが発信したい結末に向けて、過程を作るからこんな違和感しかないCMになるんだよ」

と、批判的なコメントが多く寄せられています。

◆女性のアスリートが多数出演

一方動画の後半部分では、力強い女性のイメージが描かれます。

妊婦が出産する場面へと切り替わり、懸命に痛みに耐えるシーンの合間合間に、プロスポーツ選手として活躍する女性の映像が映し出されます。
プロテニスプレイヤーの大坂なおみ氏やフィギュアスケーターの「本田真凜」(登録者数48万人)、女性野球チームで活躍する島野愛友利氏、相撲選手の葛西里澄夢氏などが出演しています。

最後に妊婦は、生まれてきた赤ちゃんに「あなたは何になりたい?」と言葉をかけ、CMが終了します。
NIKE JAPANは動画の概要欄で、

「今までは「女性らしく」なろうとしてた。
だけど、今はもう、何にでもなれる時代。
「あなたは何になりたい?」」

「新しい未来を生み出すまで、前に進み続ける。」

と綴っています。

◆ツイッターでも批判が多数

またツイッターでも、

「新しいNIKEのCMはイマイチだったな。「すごい女の子」に何でもかんでも乗せないでほしい。スポーツで活躍する女の子は、会社での女性の発言を増やしたり夜道の不安を軽くしたりはしない。繋がってない。」

「例えばこれを小さな女の子が見たとして、「えっ、女の子に生まれるって、こんなに心配される事なの?良くない事なの?」という疑念や心配の種を撒いてしまうのではないかと思う
どうしてNIKEのCMは一回対立の構造を見せなきゃ気が済まないの?
それが不快なんだよ」

「NIKEのCM、なーんか違うと思ったらアレだ。頑張れ日本の女の子達と他人事として応援するおじさん構文に似てるんだ。賃金格差は男社会が入試採用昇進で女から機会を奪ってるのが原因なのに、そこを描かずに「女の子も何だって出来る!頑張れ!」で個人のエンパワに収束させたのが違和感あるんだわ。」

と批判的な声が。
このCMが描いているジェンダーギャップへの違和感や、不平等に立ち向かう存在として、女性アスリートを起用していることに疑問を感じているようです。

ちなみに、ジェンダーギャップを題材としたCMとして、ことし3月に『報道ステーション』(テレビ朝日系)が公開したWebCMがあります。
このCMの動画は低評価数6000以上、低評価率は97%にものぼり、結果的に取り下げられることとなりました。
(関連記事「「ジェンダー平等」掲げるのは「時代遅れ」 報ステのWebCMが大炎上 低評価97%」)

まとめ

東京五輪組織委元会長の森氏の発言以来、ジェンダーに関する話題が増えましたね。「SDGs」でジェンダー平等がうたわれていることも影響しているのでしょう。各企業では男性の育休取得が推進されたり、「女性活躍」がさけばれたり。いっぽうで、医大の入試では女性にだけ合格ラインを上げていたのが明らかになったり。日本におけるジェンダー問題は根深く、きっと森氏と似た考えの男性は多いでしょう。また、そんな状況を受け入れ、諦めている女性もかなり多いように思います。
日本におけるジェンダー問題はかなり複雑だと思います。そういった背景の表面だけを適当につなぎ合わせたのが、今回のCMだったように思います。
評価が低いのも納得です。

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